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介護・介助
Q.認知症の人への対応
相談内容 夫の父は現在82歳。今年5月に妻を亡くしてから急に物忘れがひどくなりました。認知症状態かと思いますが、対応に悩んでいます。日常の対応について教えてください。一度医師に診てもらう必要があると思いますが、父は頑固な人なので素直に応じてくれるか心配です。
回 答 (1)についてご説明します。

1. 認知症とは、脳の働きが低下するために記憶障害(物忘れ)、意欲や感情の障害(感情の抑えが利かなくなる。)、失見当識(場所が分からなくなる…慣れた道なのに帰りが分からない)等が現れ、日常生活が困難になった状態をいいます。

2. 認知症の種類

脳血管性(再発作ごとに痴呆がひどくなる。)

アルツハイマー型(だんだんと痴呆状況が進行する)

その他(慢性梗膜下血腫、水頭症等)

3. 普通の物忘れと認知症の物忘れに違い

普通の場合…記憶の一部を忘れる。進行しない。失見当なし。生活に支障なし

認知症の物忘れ…全体を忘れる。進行する。失見当あり。幻覚・妄想・徘徊等生活に支障あり。

4. 受診する外来の科

心療内科、精神神経科、高齢者診療科(病院により受診する科が異なる場合がある。)物忘れの外来(富山医科薬科大学ほか)脳神経外科、脳ドック(一般病院)、老人性痴呆疾患センター(県立中央病院、厚生連高岡病院、国立療養所北陸病院)

 (2)受診を拒否する認知症の症状が見られる人への受診勧奨方法

1. 言葉掛け

・ 誰もがしなければならない年1回の検診日だから病院へ行こう

・ 身体はどこも悪くないけれど健康の確認にため安心できるよう病院へ行こう

・ ぼけないよう予防のためお医者さんに診てもらいましょう。(皆ボケたくない気持ちが強い)

2. なぜ早期診断が必要か

・ 認知症の裏側に脳外科的なあるいは内科的な病気が隠れていることがあります。

・ 治療によって治る認知症

・ 慢性硬膜下血腫(頭部外傷後、日時を経て血が溜まる)

・ 治らない認知症でも薬剤治療により症状を軽くできる(睡眠障害、夜間ぜん妄)

・ 治らなくても早期ならば進行を遅らせることができる

・ 家族に認知症への心構えができ、より良い接し方を学べる。

3. 認知症の人の不安感とは

・ 物忘れや周りの状況が分からず不安になる

・ 場所の検討がつかず、ここが何処なのか分からない恐さ(混乱する)

・ 周りの電話の音、音楽、テレビ等の刺激がストレスとなり、想像以上に恐がらせる。

V.家族は認知症の人とどのように接したらいいか

  認知症の人にどのように接するかは、非常に大切です。対応によって症状は良くも悪くもなります。穏やかな気持ちで相手に合わせることが必要です。

1. いらいらの感情で叱ったり、急がせたりしない。

・ 食事をこぼしながらだらだらと食べている場合

×「もっと上手に食べられないの?」「さっさと食べてよ!」

○ 「おいしいでしょう。腕によりをかけて作ったからね」(食事が終わってからさりげなくこぼしたものを片付ける)

・ 衣類の着脱にもたもたしている場合

×「早く、早く 何しているの?」

○ 自分でやろうとしているところは暖かく見守る姿勢で

2. 間違いを訂正したり説得したりしない

・ 食事が終わったのにまだ食べていないという場合

×「さっき食べたでしょ。忘れたの?しょうがないわね」

○ 「今、準備しますから待っててください」とお茶を出す。

3.馬鹿にしてプライドを傷つけない

・ 排泄の失敗でおもらししてしまった。

×「何度いったら分かるの」「トイレさえ分からないの」「赤ちゃにより悪い」

○ 「水こぼしたのね」(さっと後始末して失敗を責めない)

4. 入浴を嫌がるどうしたら入浴してくれるだろうか(汚い、汗臭いからお風呂に入ろうと言ってもなかなか応じてくれない)

・ 汚い、汗臭いと相手を悪く言うよりも、温泉へ行こうと誘ってみる。最近はごく近くで安く入れる(500〜1000円)温泉もあるので利用する。

・ 入浴後においしいお菓子や飲み物があると気持ちをそそる

・ 女性高齢者には週末等、嫁いだ娘さんと一緒に入浴できるよう配慮する。

・ 入浴に応じてくれない時は部分浴からはじめる。

・ 洗髪はドライシャンプーする。

・ 足浴する。(気持ちよく体も温まる)足首が浸かる程度のお湯でよい(バケツに両足を入れるか、2個の洗面器に片足づつ入れる。)

5. 認知症は脳細胞が障害を越すために起きる病気です。そして、いつまでも続くか先の見えないことが介護者の不安をかきたて、ストレートな物伝いになりやすくなります。

 しかし、認知症の人にとっての悪影響はやはり不安と心身のストレスです。介護者の言葉が認知症の人の不安やストレスとならないように、相手の気持ちに沿った対応が大切です。不快感、悔しさ、怒り等の感情的なしこりは強く残ります。ですから安心できる場所であったり、安心できる介護者や家族の対応で落ちつき、症状が軽くなってきます。

W.介護負担の軽減と息抜きの方法は

1. イライラを和らげる自分なりの方法、コツを身に付ける

・ 腹式呼吸…好きな歌を歌ったり、自分の趣味で気を紛らわす

2. 時々、イライラを爆発させる場を作る…スポーツ、カラオケ、くどき日記など

3. 家族で介護の役割分担をする

4. 認知症を隠さず、近隣にオープンにする(隠すエネルギーがなくなり気持ちが楽になる。)

5. 介護のうまくいった小さな達成感を大切にする

6. 家族の会に参加し、認知症への理解を深める。







高齢者総合相談センター 専門相談員 保健師  緑 禮子

 (内容の一部は11月12日 KNBラジオとりたてワイド朝生!で放送していました)
相談窓口
名称 高齢者総合相談センター 
郵便番号 930-0094
住所 富山市安住町5番21号
TEL 076-441-4110
相談者 30代 女性


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